ルネ・ラルー

ルネ・ラルー René LALOUX (1929-2004)

 1929年、パリ生まれ。2004年3月14日にアングレーム市にて心不全のため逝去。
 デッサン、絵画、彫刻などに打ち込んだ後、銀行勤め、兵役を経て、再び絵画の 世界に。空想絵画の展覧会をパリ、ブリュッセルで開く。友人の紹介で、精神学者のフェリックス・ガタリ(Félix GUATTARI)率いる、中部ブロワ近郊のクール =シヴェルニー精神科病院で職を得る。1955年から4年間、絵画、中国影絵、演劇や人形劇などの教室を開き、患者の指導にあたる。その患者たちと共に制作した切り紙作品で、ポール・グリモー(Paul GRIMAULT)のスタジオにおいて初のアニメーション短編『猿の牙』("les Dents du singe", 1960年)を作る。その縁で、グリモ―が美術を担当したピエールとジャック・プレヴェール兄弟(Pierre et Jacques PRÉVERT)のテレビ用実写映画『小クロースと大クロー ス』("le Petit Claus et le Grand Claus", 1964年)に出演。
 アニメーション映画監督の道に入り、シュールレアリズムとブラック・ユーモアの画家ローラン・トポール(Roland TOPOR)とコンビを組み、3本の作品を制作。『死んだ時間』("les Temps morts", 1964年)、『かたつむり』("les Escargots", 1965年、クラクフ映画祭特別賞、プラド、トリエステの両ファンタスティック映画祭でグランプリ)の短編2本、そして初の劇場用長編『ファンタスティック・プラネット』("la Planète sauvage", 1973年)。SF作家ステファン・ウル(Stefan WUL)の小説「オム族がいっぱい」("Ohms en série")を原作に、約4年間の制作でチェコのスタジオで完成した力作。同年のカンヌ国際映画祭では、アニメ―ション作品として史上初めて、審査員特別賞を受賞。
 1980年代には、漫画家とのコンビで2本の長編を制作。一つ目はフランス・コミックの巨匠メビウス(Moebius)と組んで、3年の歳月をかけてハンガリーで制作された代表作の長編『時の支配者』("les Maîtres du temps", 1982年)。もう一つは、同じく漫画家のフィリップ・カザ(Philippe CAZA)と組んで、北朝鮮のスタジオで制作された『ガンダーラ』("Gandahar", 1987年)。同年、同じ制作体制で作られた短編『ワン・フーは如何にして救われたか』("Comment Wang-Fô fut sauvé", 1987年)が最後の監督作品となった。1990年代半ば頃に、カザとのコンビで長年準備を続けたファンタジー長編大作『龍の如く』("À l’image du dragon")の企画を事情により降参し、アニメ―ション監督引退を宣言。同作品が後に他人の手により『雨の子供たち』("les Enfants de la pluie", 2003年)という題名で完成された。
  1996年から西フランスのアングレーム市にある国立コミック映像センター内の映像教育機構「デジタル画像研究所」(laboratoire d'imagerie numérique)の学長を歴任したが、1999年に退職。同時期にアニメ―ション中篇『狼の眼』("l'Oeil du loup", 1998年)の脚本を務めた。
 晩年では、若い頃より描き続けてきた絵画が主な創作活動になっていたが、近年では、新作のアニメーション長編の準備を進めていたという。

フィルモグラフィー:
1960 les Dents du singe(猿の牙)
1964 les Temps morts(死んだ時間)
1965 les Escargots(かたつむり
1987 Comment Wang-Fô fut sauvé(ワン・フーは如何にして救われたか)

長編アニメーション:
1973 la Planète sauvage(ファンタスティック・プラネット)
1982 les Maîtres du temps(時の支配者)
1987 Gandahar(ガンダーラ)

  • 最終更新:2009-07-27 04:45:30

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