ちびくろさんぼのとらたいじ

『ちびくろさんぼのとらたいじ』(持永只仁、1956、18分、16mm、白黒、日本)

監督:持永只仁

Wiki ショートレビュー:
人形の造形的な愛らしさや、ひとつひとつの丁寧な動き、そして、最も驚いたのは背景美術の大胆なデザイン性。例えば、森の中のシーンの木のフォルムは、独創性に冨んだ優れたデザインでありがら同時に、それが効果的に人形を引き立てるという効果も生んでいる。また、あるシーンでは熱帯ジャングルのようで、違うシーンでは中近東の砂漠地帯のようで、また違うシーンではグランドキャニオンのような切り立った断崖が並ぶ背景が作品中に混在している。リアリティよりも、子どもたちの想像力や興味を掻き立てることを優先した結果、特定の場所ではなく「どこか南の国」といった設定に根ざしたためではないかと推察される(あるいは、この時代だからそうした設定でも許されたのかもしれないが)。いずれにしても、この時代の日本でここまで豊かな想像力と卓越したセンスで作られたこの作品、何度見ても深い感動のようなものを覚える。(2010/11/29 廣安正隆)

  • 最終更新:2010-12-09 02:54:26

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